高校ラグビー関東新人大会決勝戦「桐蔭学園vs國學院久我山」観戦記
公開日:
:
ジチョー人見誠, ラグビー, ラグビーからの気づき, 高校ラグビー
試合結果
2017年(平成29年)2月19日(日)13:30キックオフ
於:日本大学稲城グラウンド
第17回関東高等学校ラグビーフットボール大会 決勝戦
○桐蔭学園 69(前半31-0/後半38-0)0 國學院久我山●
得点経過(前半)
前半5分までは互角の展開!桐蔭学園は連続でペナルティを取られ流れに乗れず!
前半6分 桐蔭学園が初めて敵陣22mライン付近まで入るが、マイボールラインアウトでノットストレート、やはりチャンスを生かせず
前半10分 久我山が自陣でターンオーバーに成功し桐蔭選手の背後へロングキック~素早く戻った桐蔭がカウンターを仕掛けパスを繋ぎながらそのまま12T,14G「桐蔭7-0久我山」
前半13分 桐蔭学園はショートラインアウトからリターンパスを受けた2がロングゲイン~左展開で12が抜け出しそのままT,14G「桐蔭14-0久我山」
前半15分 リスタートキックオフから桐蔭が右展開で13ビッグゲイン~フォローした11T,14G「桐蔭21-0久我山」
前半23分 桐蔭が久我山スクラムから2度目のスティールに成功!
前半24分 久我山ラインアウトを桐蔭がターンオーバーから素早く左展開で11T,14G×「桐蔭26-0久我山」
前半27分 久我山攻撃を桐蔭がカウンターラックでターンオーバーに成功~素早く連続攻撃で一気に久我山G前へ迫るがノットリリースを取られチャンスを逸す
前半28分 ハーフウェー付近での久我山ラインアウトでキャッチャーからスクラムハーフへのパスが浮いたのを桐蔭8が見逃さずインターセプト~そのまま約50m走り切りT,14G×「桐蔭31-0久我山」
得点経過(後半)
後半1分 ハーフウェー付近での久我山攻撃を桐蔭がカウンターラックでターンオーバー~14がビッグゲインしてそのままキックを蹴るもタッチインゴールを割ってしまう
後半3分 キックの蹴り合いとなるが明らかに桐蔭が優勢で、蹴り合いながら陣地を奪うと久我山ノータッチキックを桐蔭11がカウンター~リターンパスを受けた18T,14G「桐蔭38-0久我山」
後半6分 桐蔭が自陣でのディフェンスからカウンターラックでターンオーバー~カウンター~桐蔭14が久我山ゴール前へ絶妙なキック~久我山が何とか戻り蹴り出すがキャリーバッグで桐蔭5mスクラムへ!
後半7分 桐蔭が久我山G前5mセンタースクラムから右展開で13T,14G×「桐蔭43-0久我山」
後半10分 久我山ハイパンを桐蔭10がキャッチしそのままゲイン~パスを受けた4もゲインで久我山G前へ運び~FWゴリゴリで3T,14G×「桐蔭48-0久我山」
後半12分 桐蔭はターンオーバーから左展開で12がゲイン~リターンパスを受けた8がT,14G「桐蔭55-0久我山」
桐蔭はここで一気に3名選手交代
後半18分 久我山が初めて得点機を得て、桐蔭G前ラインアウト~モール~FWゴリゴリもグラウンディングを認められず5mスクラムへ!
後半21分 桐蔭G前での久我山5mスクラムから久我山がFWゴリゴリでトライを狙うがまたしたも桐蔭がターンオーバー~カウンターでフェーズを重ね一気に久我山G前へ迫るとFWゴリゴリで8T,14G「桐蔭62-0久我山」
後半24分 桐蔭が久我山G前ラインアウトからFWゴリゴリで17T,22G「桐蔭69-0久我山」
※観戦者が「そう見えた」通りに書いてる“非公式記録“ですので、名前等の間違いやルール解釈ミス等があってもご容赦ください(笑)
観戦記
新人戦東京都予選決勝の観戦記の時に書きましたが、全国大会出場を逃したチーム(國學院久我山など)が11月中旬から約3ヶ月も新チームで準備しているのに対し、全国大会で終盤まで勝ち残ったチーム(桐蔭学園など)は新チームでの準備期間が1ヶ月そこそこと圧倒的に短く不利になるのがこの新人戦の宿命なのですが・・・そんなハンディキャップをモノともせずここまで高いレベルでしっかりと準備出来てる桐蔭学園に、昨日の準決勝を観た段階で私は度肝を抜かれました。
正直久我山としては、勝ち目があるとすればFW戦で圧倒した場合のみと見ていましたが、ところが桐蔭はFWも例年以上にサイズと馬力がありましたので正直、桐蔭の勝利は揺るがないとして果たしてどこまで久我山が善戦出来るか!?・・・そんな試合なのかなと予想していました。
そしてこの日の國學院久我山の出来は決して悪くないどころか、東京都予選決勝や前日の関東準決勝で見せた良い持ち味はいかんなく発揮したように見えました。
でも・・・桐蔭学園のレベルの高さは本当に尋常ではないレベルでした。
私は10年以上(20年弱!?)桐蔭学園の試合・・・と言うか関東の高校ラグビーの試合を年に一定数はナマ観戦していますが、今年の桐蔭学園はその中でも断トツにナンバーワンだと思います。
ずいぶん昔には大型で強力なFWを武器にしていた年もあったりしましたが、近年はどちらかと言えばBK系の走力あふれる選手をFWへコンバートしたりして機動力重視のチーム作りをしていました。でも今年は機動力を損なわない状態でFWの重量や強さも相当高いレベルにあると思うのです。今年の久我山もFWにはかなり自信を持ってたはずですが、まさか2度もマイボールスクラムをスティールされたり煽られまくったりというところまでは久我山も想定してなかったでしょう。
そしてFWのフィジカル力が上がった効果の最大に発揮される場面が、“カウンターラック(相手ボールのラックに圧力をかけファイトして押し込み、ボールを乗り越えてターンオーバーする)”です。今までは明らかに数的優位に立てなければそのポイントは全てスルーし、連続攻撃の中で相手のフォローが遅れ孤立した瞬間だけを狙って一気に人数をかけターンオーバーするというのが桐蔭の基本パターンですが、FWが強くなったことで今までは見送ってた場面でも積極的にカウンターラックを狙えるようになってるので、ターンオーバーの回数がかなり多くなっています。ターンオーバーの数が増えれば元々攻撃力は高いのだから得点チャンスも増えるわけです。そして攻撃時間が長くなれば必然的に失点の回数は減るというわけです。
桐蔭学園の3番PRなどは、桐蔭学園OBで今季帝京大主将を務める堀越康介選手ばりのフィジカルの強さでしたし、BK陣のランニングスキル、パススキル、キッキングスキルはため息が出るくらいのハイレベルですし、例年どこかしらにあった穴が今季は完全に塞がり完成形に近い形になって来てるのかなと思った次第です。
そして今季、帝京大学だけでなく、じつは慶應義塾大も明治大も新主将は桐蔭学園OB!単に身体的能力だけでなく考える力や状況判断、そして人間力までもが継続してしっかりと教育されている証拠ですよね。
関東のどこの高校も桐蔭学園に追いつけ追い越せが合言葉なはずですが、正直同校の進化速度のほうが他校の成長よりも上回っている気がしてなりません。桐蔭の独走を阻止するために、他校はもっともっと根本的なところから見つめ直す必要があるのかも知れませんね。
桐蔭学園には、ぜひこのまま全国選抜大会でもしっかりと力を出し切り、ぜひ悲願の選抜初優勝を果たしてもらいたいなと思います。
あくまでも100%“観戦者の私見”ですので、「それは違う!」と思ってもご容赦ください(笑)

ジチョー人見 誠

最新記事 by ジチョー人見 誠 (全て見る)
- 本日、高校ラグビー全国大会埼玉県予選決勝が行われます! - 2019年11月16日
- 本日、関東対抗戦グループ上位4校の直接対決だよ~!! - 2019年11月10日
- ラグビーW杯2019日本大会、いよいよ本日準々決勝「日本vs南ア」決戦の時! - 2019年10月20日
- PREV
- 高校ラグビー「関東新人大会」最終日速報!
- NEXT
- 関西高校硬式野球部34年ぶり甲子園出場の回想!
関連記事
-
-
関東対抗戦「帝京大学vs明治大学」観戦記
試合結果 2017年(平成29年)11月18日(土)14:00キックオフ 於:ニッパツ三ツ沢
-
-
ジチョー人見誠の履歴書その⑱[ジチョーを悪の道に引きずり込んだ悪友編]
※ジチョー人見誠の履歴書その① 「幼少期編」 ※ジチョー人見誠の履歴書その② 「ラグビーとの出
-
-
関東大学春季大会「帝京大学vs流通経済大学」観戦記
試合結果 2017年(平成29年)6月18日(日)13:30キックオフ 於:帝京大学百草グラ
-
-
本日第39回関東大学ジュニア選手権決勝戦が行われます!
このブログで何度も観戦記を紹介して来た関東大学ラグビーにおける準1軍選手たちの公式戦「関東大学ジュニ
-
-
吉野家の牛丼が好きな理由、それは青春の味だから!
吉野家、松屋、すき家、なか卯・・・世の中には美味しくて安い牛丼チェーンがたくさんある中で、最も好きな
-
-
関東大学対抗戦グループA「帝京大学vs日本体育大学」観戦記
試合結果 2017年(平成29年)9月30日(土)15:00キックオフ 於:秩父宮ラグビー場
-
-
日本代表が史上初のW杯決勝トーナメント進出を決めました!
我らがラグビー日本代表、本当にすごかったですね! 感動しましたね!魂が震えましたね! ラ
-
-
2018年関東大学対抗戦「帝京大学vs明治大学」観戦記
試合結果 2018年(平成30年)11月18日(日)14:00キックオフ 於:秩父宮ラグ
-
-
テストマッチ「日本代表vsオーストラリア代表」観戦記
試合結果 2017年(平成29年)11月4日(土)14:40キックオフ 於:日産スタジアム
-
-
ジチョー人見誠の履歴書その⑳[帝京大学ラグビー部1985年秋シーズン② 1年生はつらいよ編]
※ジチョー人見誠の履歴書その① 「幼少期編」 ※ジチョー人見誠の履歴書その② 「ラグビーとの出