第54回大学選手権決勝「帝京大学vs明治大学」観戦記
試合結果
2018年(平成30年)1月7日(日)14:00キックオフ
於:秩父宮ラグビー場
第54回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝
○帝京大学 21(前半7-17/後半14-3)20 明治大学●
※帝京大学が9年連続9回目の大学選手権制覇!
得点経過(前半)
前半5分 帝京大のアタックに対しドンピシャタックルから敵陣右中間30m地点と絶好の位置でペナルティーを得た明治大はショットを選択〜10堀米PG失敗!
前半6分 帝京大ボールでファーストスクラムを帝京大はガッチリとキープ
前半6分 帝京大はスクラムから右展開でゲインもパスを明治12梶村がインターセプトし、そのまま約60m独走T,10堀米G×「帝京大0-5明治大」
前半8分 リスタートキックオフで帝京14木村が危険なタックルによりシンビン(10分間の一時退場)
前半11分 帝京大は敵陣での左展開から12ニコラスが好ゲイン〜G前ラックから右展開で2堀越T,11竹山G「帝京大7-5明治大」
前半14分 明治大はハーフウェー付近ラインアウトから右展開サインプレーで14高橋が抜け出し、帝京のタックルを弾きながらそのままT,10堀米G×「帝京大7-10明治大」
前半18分 帝京大14木村選手が戻り、15対15となります。
前半23分 初めての明治ボールスクラム!明治がしっかりとキープ
前半25分 明治大は敵陣ラインアウトからFWタテ突進で敵陣G前へ迫るとラックサイドを突いた9福田がT,10堀米G「帝京大7-17明治大」
前半28分 帝京大選手交代 6古田→20菅原
前半30分 帝京大はラックで再ターンオーバーから左展開〜右展開ゴロパントもタッチインゴールを割り明治スクラムへ!
前半33分 明治のノータッチキックを帝京がカウンター〜左展開〜裏チョンもコントロール悪くタッチインゴールを割る!
前半38分 明治のノータッチキックを帝京大はカウンターから連続攻撃でフェーズを重ね右展開で14木村が抜け出すも、ラストパスをノックオン
得点経過(後半)
後半2分 帝京大がノックオン〜ゲットした明治は素早く左展開で11山村がフリーになったが、ショートパントを帝京15尾﨑がナイスチャージでピンチを脱す
後半5分 明治大は敵陣右中間22m地点で得たペナルティーからショットを選択〜明治10堀米PG成功「帝京大7-20明治大」
後半9分 明治大は敵陣での連続攻撃から裏チョンも帝京大がインゴールで押さえドロップアウトに!
後半14分 帝京大は敵陣G前ラインアウトからFWが相次いでタテ突破を図り、最後は5秋山がT,11竹山G「帝京大14-20明治大」
後半18分 明治大が帝京G前でのラインアウトからFWゴリゴリも帝京がジャッカル成功でターンオーバーに成功!
後半19分 帝京大は自陣G前で得たペナルティーから速攻を仕掛け右展開で14木村〜15尾﨑がそれぞれビッグゲイン〜敵陣ラックから13岡田がピックゴーでT,11竹山G「帝京大21-20明治大」
後半23分 帝京大選手交代 20菅原→19藤田
後半29分 帝京大は敵陣ラインアウトから右展開で明治G前へ迫るが、明治がラックからターンオーバーに成功!
後半33分 帝京大は敵陣スクラムから連続攻撃〜右展開10北村裏チョンもタッチインゴールを割る!
後半33分 帝京大選手交代 1西→17岡本、3垣本→18淺岡
後半36分 帝京大が敵陣スクラムから連続攻撃〜明治がノットロールアウェー〜帝京大はスクラムを選択!
後半39分 帝京大は明治G前5mスクラムから左展開でトライ目前も、帝京がオブストラクションを取られる!
後半41分 帝京大2堀越が故意の反則でシンビン!
明治大がペナルティー!帝京大がタッチに蹴り出しノーサイドです!
※観戦者が “そう見えた“ 通りに書いてる “非公式記録“ ですので、名前等の間違いやルール解釈ミス等があってもご容赦ください(笑)
観戦記
いよいよ前人未到の9連覇へ王手をかけ、決勝戦に臨む帝京大学。対戦相手は、毎年春季大会と関東大学対抗戦では対戦があるものの、大学選手権決勝で対戦するのは初めての明治大学。そうです、今年の決勝戦は関東大学対抗戦グループ1位vs2位ということになったです。
帝京大学は例年の大学選手権決勝戦では、ジュニア選手権でがんばった選手の中から4年生を少し多めに起用し、最後は4年生の意地とプライドと踏ん張りと経験値で勝ち切るという流れだったと思うんですが、今年のメンバー構成には少し異変を感じました。FWはリザーブも含め全て3~4年生のみという構成で、逆にBKはリザーブも含め1年生を4名も起用しています。そして2年生はSHリザーブの末拓実選手のみ。
少し踏み込んだことを書くならば、昨年の大学選手権でも今季の対抗戦でも大活躍だった矢富洋則選手、元田翔太選手といった経験豊富な4年生には個人的にはぜひピッチへ立ち、有終の美を飾って欲しかった。でもニコラス・マクカラン選手も木村朋也も1年生ながら大学選手権準々決勝・準決勝と大活躍で交代させる理由は見当たらない。最終的にはFW戦で圧倒的優位に立たねばならないという判断で、BKは若い選手を他の経験豊かなベテランがカバーしてくれるであろう、そんな判断をしたのかなと推理したんです。“だとすれば帝京大学、まぁまぁ余裕があるな、これはけっこう差がつくんじゃなかろうか!?” 私はワンサイドゲームを予感していました。
対する明治大学、23名のメンバー自体は準決勝からひとりも代えていませんが2番HOは朴成浩選手、3番PRは吉岡大貴選手と、スクラムの最重要ポジションであるこの2つを4年生選手の先発に切り替えて来ました。もちろんこれは肝心のセットプレー安定を最上級生の4年生の経験値と責任感に託したということでしょう。
そのセットプレー、特にスクラムに関しては試合を通してのトータルではやや帝京大学が優勢だったと思いますし明治大もコラプシングを取られた場面もありましたが、ゲームのすう勢を揺るがしかねないほどの差はありませんでしたよね。これは双方FWが意地とプライドでしっかりと組み切ったということなんだろうと思います。
さていよいよ観戦記というか本題なんですが・・・このブログを興味深く読んでくださる方は既に現地で生観戦しているか、TV中継を観ているか、少なくとも新聞やこれまでに多く出されているネット記事等々で試合内容は確認されたと思います。時系列で言えば前半明治が主導権を奪いリード、でも明治は最初のPGと2トライ後のコンバージョン計3本のプレスキック失敗が響き大差はつけられず。後半帝京大がわずか1点差ながら逆転に成功、最後の最後までこの1点差を守り切り見事勝利!・・・とまあこんな展開でした。
プレスキック成否にも様々な視点があることは承知していますが、仮に全て決まってたとすれば帝京大はもっと早い段階から色んな仕掛けを打ち始め、最終的にはギャンブルに近いチャレンジもしたでしょうから、あまり足し算的なタラレバ論は意味がないのかなと個人的には考えています。
それにしても前半、いや後半中盤までの明治大はそのプレスキック以外、ほぼ完璧なゲームコントロールでした。アタックにおいては帝京ディフェンスがきちんと対応しているのに、そこを複雑なサインプレーを絡めるなどして切り崩しゲイン出来ていましたし、アタックに関しても帝京大の攻撃パターンをほぼ完璧に読み切ってほぼ完璧に止め切ってましたよね。
帝京大は明治ディフェンスがあそこまで詰めて来るならそのディフェンス背後へキックを蹴りチャンスを作りたかったはずですが、思いのほか明治の陣形が崩れないので苦し紛れと言うかあまり意図の感じられないキックが少なくありませんでした。しかもそのキックコントロールの精度もこの決勝戦は特に悪くかったので、タッチインゴールを割り相手スクラムとしてしまうなど逆にピンチを招いていました。
このようにBKが手詰まりになった時にこそ、矢富選手や元田選手のようなペネトレーター(突破役)の選手が必要なんじゃないの!?このままじゃ危ないぞ!私はそんな懸念を抱きつつ見守っていたのですが、本当に帝京大フィフティーンがすごいなと思ったのは、あれだけ追い込まれても全く慌てず焦らず、苦しくなればなるほど冷静にコミュニケーションを取り続けていたことです。
唯一負けるパターンがあるとすれば、焦りから強引なプレーや自分勝手なプレーが目立ち、そこからまたミスが生まれて付け込まれる、そんなパターンだと思うのですが、私の頭が強引に突破できる4年生起用にばかり行っているのをあざ笑うかのように、ピッチに立っている1年生たちは冷静に自分の役目を果たしていました。
後半14分に帝京大LO秋山大地選手がトライをあげ6点差に迫った後、明治大は敵陣でチャンスを掴んだものの反則。どう考えても帝京は自陣だしタッチキックを蹴って来るだろうと明治フィフティーンが気を抜いた瞬間を見逃さずに速攻で仕掛け、そのまま逆転にこぎつけた帝京大学!WTB木村朋也選手、FB尾﨑晟也選手の好ゲインから最後はCTB岡田優輝選手がピックゴーでトライしましたが、私が一番驚いたのは自陣ゴール前から一気に80mくらい攻めた一連の攻撃の中で、最後にこの岡田選手をピッタリとフォローしてたのはなんと1番PR西和磨選手でした!こういう献身的なフォローが岡田選手のトライを呼んだと思いますね。
あ、ちなみに帝京大・岡田優輝選手と明治大・梶村祐介選手は、伊丹ラグビースクールで幼稚園の頃からのチームメイトなんだそうですね。年月を経て日本一を決める戦いでトイ面同士なんて、ドラマみたいですよね♪
後半の体力的にも苦しい時間帯にSHが不意に仕掛けても、その周辺の選手のみならず体力的に負担の大きいプロップまでもが呼応して一切サボらず最後まで走り切る。ここが “この試合に勝つ為の完璧な準備をした明治” と “日本一になる為に1年間かけて心身共に準備した帝京” の差だったんじゃないかなと感じたんです。
そして繰り返し繰り返し書いてる “4年生の力” ということで言えば、昨年までは4年生が直接ピッチへ立ち優勝を掴み取る形だったところから、今年は4年生の想いを背負った1年生が4年生の代わりにしっかりと体現できるチームへと更に進化を遂げたんじゃないかなと。つまり単なるプレーヤーにとどまらず総合力としての4年生の成長が日本一だった帝京大学だからこそ、日本一になれたんじゃないかと。
そしてその4年生を束ね1年間チームを引っ張り続けた堀越康介主将、そして尾﨑晟也副将、本当にお疲れ様でした。あなた方の言葉を直接耳にする機会はあまりなかったけれど、常に先頭を切って身体を張り続け背中で引っ張った2人は本当にカッコよかった!お疲れ様、そしてありがとう!
選手諸君はもちろんのこと、彼らをサポートしている全ての学校関係者の方々、スタッフ、そして選手のご家族の方々などなど全ての方々、本当におめでとうございます。そして、こんな鼻●ソOBを誇らしい気持ちにさせてくれて、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
今季から日本選手権出場枠がなくなったのは残念ですが、どこにも負けず全勝のまま終わった唯一のチームと言うことで、これはこれで素晴らしい誇りなのかなと感じました。
最後に、超満員の秩父宮ラグビー場の雰囲気、最高でしたね。やはり大勢のラグビーファンが伝統校の完全復活を待ち望んでいたんですね。個人的には若干複雑な心境もありますが(笑)やはり明治、そして慶應・早稲田、同志社、法政などなど伝統校が強くなければ大学ラグビーは盛り上がりません。来季も切磋琢磨して、もっともっとハイレベルな戦いを見せて欲しいなと期待します。
あくまでも100% “観戦者の私見” ですので、「それは違う!」と思ってもクレームはご遠慮ください(笑)
表彰式及び歓喜の瞬間
出場メンバー
[帝京大学]
1 西 和磨(ニシ カズマ)[4]京都成章180cm/112kg
⇒17 岡本 慎太郎(オカモト シンタロウ)[3]後半34分
② 堀越 康介(ホリコシ コウスケ)[4]桐蔭学園174cm/102kg
3 垣本 竜哉(カキモト タツヤ)[4]大阪桐蔭177cm/114kg
⇒18 淺岡 俊亮(アサオカ シュンスケ)[3]後半34分
4 今村 陽良(イマムラ タカラ)[3]東福岡186cm/110kg
5 秋山 大地(アキヤマ ダイチ)[3]つるぎ191cm/111kg
6 古田 凌(フルタ リョウ)[4]京都成章183cm/103kg
⇒20 菅原 貴人(スガハラ タカヒト)[3]前半29分
⇒19 藤田 達成(フジタ タツナリ)[3]後半25分
7 ブロディ・マクカラン[3]ハミルトンボーイズ192cm/106kg
8 吉田 杏(ヨシダ キョウ)[4]大阪桐蔭188cm/108kg
9 小畑 健太郎(オバタ ケンタロウ)[3]伏見工業170cm/73kg
10 北村 将大(キタムラ マサヒロ)[1]御所実業171cm/78kg
11 竹山 晃揮(タケヤマ コウキ)[3]御所実業176cm/82kg
12 ニコラス・マクカラン[1]ハミルトンボーイズ188cm/90kg
13 岡田 優輝(オカダ ユウキ)[4]大阪桐蔭180cm/93kg
14 木村 朋也(キムラ トモヤ)[1]伏見工業174cm/74kg
15 尾﨑 晟也(オザキ セイヤ)[4]伏見工業174cm/85kg
[リザーブ]
16 金 廉(キム リョム)[4]大阪朝鮮183cm/108kg
17 岡本 慎太郎(オカモト シンタロウ)[3]京都成章180cm/110kg
18 淺岡 俊亮(アサオカ シュンスケ)[3]京都成章186cm/125kg
19 藤田 達成(フジタ タツナリ)[3]東福岡192m/100kg
20 菅原 貴人(スガハラ タカヒト)[3]御所実業185m/105kg
21 末 拓実(スエ タクミ)[2]長崎北陽台164cm/70kg
22 奥村 翔(オクムラ カケル)[1]伏見工業179cm/80kg
23 矢富 洋則(ヤトミ ヒロノリ)[4]仙台育英181cm/90kg
[明治大学]
1 久原 綾眞[4]佐賀工業177cm/112kg
2 朴 成浩[4]大阪朝鮮175cm/96kg
3 吉岡 大貴[4]日向183cm/113kg
④ 古川 満[4]桐蔭学園186cm/106kg
5 箸本 龍雅[1]東福岡188cm/111kg
6 前田 剛[4]報徳学園180cm/96kg
7 井上 遼[3]報徳学園183cm/96kg
8 朝長 駿[3]長崎北陽台181cm/95kg
9 福田 健太[3]茗渓学園173cm/78kg
10 堀米 航平[4]流通経済大柏177cm/89kg
11 山村 知也[2]報徳学園174cm/75kg
12 梶村 祐介[4]報徳学園180cm/94kg
13 鶴田 馨[4]筑紫177cm/89kg
14 高橋 汰地[3]常翔学園179cm/89kg
15 山沢 京平[1]深谷176cm/81kg
[リザーブ]
16 武井 日向[2]國學院栃木170cm/95kg
17 齊藤 剣[3]能代工業177cm/115kg
18 祝原 涼介[3]桐蔭学園184cm/114kg
19 土井 暉仁[3]常翔学園189cm/107kg
20 坂 和樹[2]明大中野八王子182cm/103kg
21 松尾 将太郎[3]東福岡170cm/83kg
22 森 勇登[1]東福岡174cm/81kg
23 山崎 洋之[2]筑紫173cm/82kg
この日グラウンドで会ったラグビー仲間たち

ジチョー人見 誠

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